2013年4月29日月曜日

当院の痔の治療

 少しはクリニックの院長らしく、病気のことも書いてみましょう。
 今回はお尻の病気について。

 お尻の病気は、場所が場所だけに誰も人には語りませんが、実は非常に多く、ほとんどの人が一度は経験しています。あなたはいかがですか?

お尻のしくみ






  肛門部は上のようのような形をしています。 内側から、粘膜があり、その外側に肛門括約筋、つまり肛門を閉める筋肉があります。粘膜と括約筋の間に静脈の塊(静脈叢)があり、これを痔核と呼びます。静脈叢が腫大すると、出血や、肛門からとび出たり(いぼ痔)します。静脈のうっ血が原因の一つなので、排便時の力み、女性は出産で悪化します。便秘をしないこと、排便時は力まないこと、和式より様式のトイレを使用することなどが予防法として重要です。


痔の治療

 

さて、治療ですが、まず便秘をしない、排便時に力まないなどの生活の改善と、薬の使用による保存療法を行います。薬は出血や痛み、腫れなどの症状を抑え、また便をスムーズに出すための潤滑油の役割を果たす座薬、軟膏を使用します。保存療法を続けても改善しない時や、脱出した痔が、手で押し込まないと入らないようになれば、手術が必要です。

痔の手術

 

手術方法には次のものがあります。

①結紮切除術: 

痔核に血液を送っている血管を縛って、痔核を切り取ります。傷口は半分だけ縫合する半閉鎖や、全く縫合しないケースもあります。現在、痔核の治療の主流となる方法です。痔核の大きさや形、位置などに柔軟に対応できますが、術後に痛みを伴います。

ALTA四段階注入法:

ジオンという薬を痔核本体の4箇所に注射、患部を硬化・萎縮させて痔核がどんどん小さくなっていきます。術後の痛みもほとんどなく、現在最も注目されている外科的療法です。肛門外の皮膚まで腫れているようなときは、結紮切除術が必要ですが、ALTA四段階注入法を併用することで、切除範囲を縮小できます。

その他、様々な治療法がありますが、痔核の症状や状態にあわせた治療法を行います。

なお、痔の症状がある時は、その他の原因がないか検査をして確かめることが重要です。なぜならば、同様の症状を起こす疾患には、大腸癌など放置しておくと生命にかかわる疾患があるからです。特に大腸癌は近年増加傾向にあります。したがって、中年以降で血便などの症状を呈する方には積極的に大腸内視鏡や大腸透視をお勧めしています。

お尻に異常を感じたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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